埼玉 奥武蔵 吾野の小さな峠めぐり(峠歩きの景色)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

サイクルツーリングで”峠”に興味を持って依頼、標高の低い峠へ歩きで訪れることも多くなりました。そんな昔の”景色”を思い出として綴ってみました。

【年月】2007年4月
【ルート】西吾野駅-三社(みやしろ)峠-大久保峠-梨本峠-吾野駅


今回は西から東へ順繰りと、高麗川と長沢川に挟まれた山脈の小さな峠を訪れることにしよう。
半袖姿のハイカーも見かけた西吾野駅に到着したのは12時半。国道299号を歩き、まずは吾野小学校裏から三社峠を目指すはずだった。

しかし交通量の多い車道歩きと、、また「山と高原地図」で見た峠路の(迷)の文字も脳裏に浮かび、西武線の高架を潜る手前から、早々に山路に逃れることにする。

「安曇幹線348号に至る」の黄色い標柱のある送電線巡視路に入ると、山ノ神の鳥居を高めに見ながら、急な登りが待ち構えている。
小学校のオリエンテーリングコースなのだろうか、ひらがなの書かれた標識が木に掛かっている。こんな急坂を登るとは偉いなぁ。
直登気味の尾根路に、一方のおじさんの心臓は早くもバクバク、木に寄りかかってペットボトルからガブ飲みして大休止。
喘ぎながら登ってピーク地点の送電線の鉄塔をやり過ごし、子供たち用に作られた木製の見晴らし台「トムの家」を過ぎて、「至ル三社峠近道8分」の標識でようやくトラバースに入り、峠に到着。
高山峠の別称もあるので、きっと高山不動の参拝路だったのだろう。
IMG_0024a
峠には石の道標もある。(写真右下にて。「右たかやまみち」とあるらしいが、現地では判読不能だった。)

峠から、まずは大窪側へ。
長沢川沿いの入り口(写真)には「三社峠ヲ経テ吾野駅25分・あじさい館30分」の道標がある。
IMG_0021a

再び峠に戻って、三社側(国道299号側)へと歩みを進める。三社側の峠路はジグザグで、先ほどの巡視路とは大きな違いだ。
やはり峠路は人に優しい。素直に吾野小学校裏から入れば良かったと、この時は思ったのだが・・・。

IMG_0031a
実は、三社側の入り口が、件の(迷)マークの通り、ちょっと分りにくいのだ。
国道から吾野公民館で折れ、吾野小学校の前を通り、用水路に沿って民家の裏を抜け、お墓の脇から峠路に入る。でも、民家の裏を抜けるのが・・・、やっぱり気がひけますよね。

たぶん自分だったら躊躇して、絶対迷っていただろう。巡視路を辿って正解だったかも。
なお道標は一切無し。うん、だって、地元の方々だけが利用した路だものね・・・。
国道沿いのコンビニでお茶とおにぎりを調達。
IMG_0041a
さあ、次は大久保峠だ。
入り口は「奥武蔵あじさい館」前の横断歩道(写真)から。

IMG_0053a
伐採地の中を歩き、振り返れば、伐採でぽっかりと開けた谷の先にあじさい館が見える。
程なくして、切通しの小さな大久保(大窪)峠。
標柱もお地蔵様も無いが、雰囲気の良い峠だ。
ちなみにこの峠路、大正期に作られた「学校みち」だという。この岩のような切通しを開削するのに、どれくらいの労力がかかったのだろう・・・。
IMG_0063a
竹林に囲まれた路になれば、もう車道はすぐ下。
写真は大窪側入り口にある木の道標。「三社峠を経てあじさい館へ」の文字の上から、ガムテープで「大窪峠」と修正してある。

長沢川沿いの道は、たまに自動車が通るが、しっとりとした雰囲気の良い道。
これなら車道歩きも苦にならない。自転車でのんびり走るのにも良さそう。

IMG_0075a
最後は梨本峠。
本来の峠路は、念仏供養塔の脇から入る路だそうだ。
確かに明らかな路があるのだが、前半は倒木が多く、ちょっと面倒。
IMG_0044a
車道と平行に、緩やかに高度を上げていくので、迷うことはないだろう。
倒木も無くなり、しばらく歩くと、「下る」の標識のある三叉路に出る。
ここを下ると、鉄製の階段のある路に降りるらしい。
単なる山道なので、「マニア」の方(笑)以外は素直に階段から歩いた方が良いかも・・・(^^;
IMG_0086a
梨本坂、大久保坂とも呼ぶ。
木にロープで括りつけてあった峠名のプレートは、残念ながら落ちてしまっていた。

IMG_0093a
さて、梨本側の入り口(写真)だが、先の三社峠以上にわかり辛い(泣)。:
西武線のガードを潜り、その先で道が右に曲がるところの、カーブミラー左脇の草に隠れた小路が峠路入り口である。
三社峠、大久保峠、そして梨本峠。
日曜日だというのに、人ひとりと会わずに、静かな峠めぐりとなった。


(参考文献)
文中の説明は全て「奥武蔵」(「奥武蔵研究会」)286号及び339号の藤本一美氏の文章から引用しました。339号には地形図(巡視路のルートも有)も記載され役に立ちました。
また巡視路の入り口や、大久保峠入り口など、具体的なコースは、サイト「峠のむこうへ」様の紀行文が大変参考になりました。
心より御礼申し上げます。


 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。